ミシュラーメン
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無化調は重い
平成14年8月31日

 無化調は「むかちょう」と読む。「化学調味料を使っていない」という意味のラーメン用語である。90年代中頃に、ラーメンフリークたちが使い始めたらしい。ここで対象となる化学調味料は、グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムのことで、一般に知られている品名は「旭味」「味の素」「ハイミー」「いの一番」「ほんだし」などである。
 ところで、化学調味料を使わないラーメン店は少ない。化学調味料を使わずに客の満足する味を作ることはかなり難しいからだ。 「首都圏・絶対に食べたいラーメン店220軒(2002〜2003年度版)をみると、220軒のうち無化調店はわずか15軒である。ラーメンファンは無化調ラーメン店にステータスを感じ、 「無化調でこの味を出しているのは立派」などと評価する。化学調味料を使っていないというだけで、付加価値がつけられているのは、ラーメンの世界くらいだろう。
 ラーメンファンとしては化学調味料を使うななどとはもちろん言わない。目の前で無頓着に使うのを見たり、調理台に化学調味料のパッケージなどを置かれているのを見ると作り手のセンスを疑いたくなる。鳴門やどんぶりの縁に白い顆粒がついていても平気で客に出すようなデリカシーのなさは改めていただきたい。また食後に舌がしびれたり、いつまでも口に中に不快感が残るようなことは勘弁してほしい。見えないところで適量使うなら構わないということだ。
 すべての料理を化学調味料なしで作るとしたら、ダシを取る材料だけで膨大な量になり、少し大袈裟になるが環境破壊につながるという意見がある。化学調味料なしに、先進国の食文化は成り立たないのが現実である。70年代中頃に、フランス料理の世界では手をかけ過ぎ奇をてらった調理法を改めて、素材を活かしシンプルにという考え方、つまり「ヌーベルキュイジーヌ」(新しいフランス料理)が生まれた。さらに、80年代中頃には、イタリアの片田舎でファーストフードに対抗した「スローフード運動」が起こった。伝統的な食文化を大切にし、使われなくなった素材や滅び行く郷土料理を守ろうという運動である。この運動は現在、世界的な広がりをみせている。ラーメンファンたちが無化調に期待する付加価値は、「ヌーベルキュイジーヌ」や「スローフード運動」と同じように食を見直そうという意識の現われなのかもしれない。期待を込めて言えば、無化調は日本の食文化を考え直す起点になるかもしれない。「むかちょう」はなんとも軽い響きであるが、意義は重そうだ。   
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